心肺蘇生(BLS/CPR)を究めるなら必読の参考書





心肺蘇生の技術(胸骨圧迫+人工呼吸)を維持していくためには、少なくとも1-2年に一度は蘇生人形(マネキン)を使ったシュミレーショントレーニングを行なっていく必要があります。また、さらなる上級テクニックを身につけるためには、医療従事者向けに用意されたプロフェッショナルのためのBLS講習を受講するのがいちばんの近道です。

しかし、市民向け講習でもプロ向け講習でも、最近の傾向としては、教科書/テキストを広げて講義を聴く、というような座学はほとんどなくなってきています。講習会に参加すればすぐに体を動かして、さながらエクササイズに来たのかと思うくらいに体を動かすことの方が多いかもしれません。

そのため、心肺蘇生に関する学術的な背景や理論は独習する必要があります。まずは救命講習で使ったテキストを熟読するのがいちばんですが、技術の習得を第一に考えて簡単にしか書かれていないものが多いですので、より高度な知識を求める人には少し物足りなさがあるかもしれません。

そこで、このページでは、より高いレベルの心肺蘇生(BLS/CPR)の知識を得たい人のために、これだけは読むべき! という参考書をいくつか挙げておきます。


救急蘇生法の指針 改定3版【市民用・解説編】

(日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会編:へるす出版)

日本版ガイドライン:救急蘇生法の指針 改定3版なにはさておき、心肺蘇生法/救急法に興味がある人なら絶対に必要なのが、『救急蘇生法の指針 改定3版』です。これは他の参考書とはまったく格が違います。なぜなら、日本国内で実施されている心肺蘇生法の原点とも言うべき、日本版ガイドラインそのものだからです。

消防や日本赤十字社などの心肺蘇生法はすべてこの本に従ってプログラムが作られています。なにか疑問点があったら、この本を調べれば答えが出ています。反対にこの本を調べてもわからないことがあれば、それはきっと根拠性が未確定ということになると思います。

『救急蘇生法の指針 改定3版』には、実は3種類あります。

【市民用】 【市民用・解説編】 【医療従事者用2005】

このうち、BLSの勉強用、また指導員用として適しているのは【市民用・解説編】です。図が多く、受講生からありがちな質問とその答えが用意されていたり、と実践的な内容になっています。

【医療従事者用2005】も興味があるところですが、こちらは気管挿管をしたり薬剤を使ったりする二次救命処置(ALS)が中心に書かれています。前半部分で、プロフェッショナル向けのBLSについての記載もあるのですが、ほんの少しだけ。値段もけっこう張りますので、BLSを学びたい、教えたいという人が無理して手にするほどの本ではないと思います。

医師や看護師、救急救命士、救急隊員など、ALSに関わることがある人であれば、ぜひ目を通しておきたいところです。しかし【市民用・解説編】に替わるものではありませんので、専門職の方でも【市民用・解説編】は必読です。


BLS:写真と動画でわかる一次救命処置

(大阪ライフサポート協会編:学習研究社)

BLS:写真と動画でわかる一次救命処置日本のBLSの基本中の基本ともいうべき『救急蘇生法の指針 改定3版』に目を通した後に読むべき本と言えば、私は『BLS:写真と動画でわかる一次救命処置』かなと思います。

主に救急隊員や看護師など、医療従事者向けに書かれた本なのですが、写真やイラストが多く、付属のDVDもかなり力が入っていて、BLSを独習で究めたいという市民にとってもうってつけの本です。医学書は高いというイメージがありますが、この本はDVD付きで2100円とリーズナブルなのもうれしいところ。

この本のいいところは、手技のビジュアルガイドとしても一級の内容なのに、医学的根拠やガイドライン変更の背景などがかなり詳しく書かれているところです。救急法指導員、応急手当普及員、BLSインストラクターをしている方なら受講生からありがちなちょっと突っ込んだ質問に答えるときにも役立つはず。

実は心肺蘇生のガイドライン2005というのは、地域によっていろいろなバージョンがあります。世界的に知られているのはアメリカ心臓協会のAHAガイドライン2005、そしてイギリスを中心で採用されているヨーロッパ蘇生協議会のERCガイドライン2005などが有名です。両者は微妙なところで違いがあるのですが、その違いの理由、日本ではどの部分を採用しているのか、など他ではあまり語られることがない部分まで説明されているのは貴重だと思います。

内容的には、医療従事者が行なう一次救命処置を前提に書かれていますので、頸動脈の確認やバック・バルブ・マスクを使った人工呼吸など、市民の方からすると目新しいことも書かれていますが、AHAのヘルスケアプロバイダー・コースを受講すると、このあたりのこともきちんと学べます。AHAのヘルスケアプロバイダー・コースの受講準備としても、『BLS:写真と動画でわかる一次救命処置』はよい本だと思います。

ヘルスケアプロバイダーのための人工呼吸器具:バックバルブマスク(アンビューバック)




(2007.10.25)

心肺蘇生法(BLS/CPR) エキスパートへの道

 


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